| メールマガジン |
| ● 富安陽子 腕だめし STORY COMPE.2025 |
 |
◆ 第1回「富安陽子 腕だめし STORY COMPE.2025」結果発表!
◎ 第1位 「かばんの中のアイスクリーム工場」 中村れいこ/作
| 〔講評・富安陽子〕 |
|
書き出しからの四行で、読者を物語の中に引っぱりこんでくれます。なんで?とか、どうして?と疑問をはさむ暇もなく、シロクマが運んできた不思議なカバンの中のアイスクリーム工場の世界に入りこみ、物語を楽しみました。10枚ほどの短いお話の場合、こういうスピード感はとても大切。そこが、うまいな、と思いました。あと少し、行数に余裕があるので、出だしの公園のシーンに、暑い暑い夏の描写を加えてみてはどうでしょう?冷たいカバンの中の世界との対比がもっと際立つはずです。ラストも、輝く太陽とセミ達のにぎやかな合唱の中汗をぬぐいながら、「今日はアイスクリームにしてよかったな」と結べば、もっと説得力が増す気がします。 |
※ 富安陽子理事長の手描き表彰状を贈呈します。
◎ 第2位 「みちばたー」 さかなこ/作
| 〔講評・富安陽子〕 |
|
“アイデアが新鮮”“独創的”という感想が多かった作品です。確かに!重たい書き出しからは想像もつかない意外な展開に、あっと言わされました。細かな描写や説明は省き、日記風に一日ずつ、短く印象的な場面を繋いで一本の物語に仕上げるという手法も効いていますね。みちばたーが来訪の理由を語る場面はさすがに詰め込み過ぎの感もありましたが、そこを図書室のエピソードで手堅くまとめ、ハッピーエンドに持っていく手腕は心憎いばかりです。 |
中村れいこさん、さかなこさん、おめでとうございます!
| 「第1回コンペを終えて」 |
|
初めての“STORY COMPE”。この新しい試みに参加してくださる方が果して何人いらっしゃるだろうか?と不安でしたが、46人もの方が、それぞれに楽しい物語を書いて送ってくださって感激でした。作品に投票して下さった81人の皆さん。たくさんのエールと感想をありがとうございました。みなさんの言葉はきっと新しい書き手の力になると思います。
今回のキーワードはアイスクリームとカバン。私が同じ条件で書いた物語を読んで「え?こんな使い方でもいいの?」と思った人もいるかと思います。ええ、もちろん、こんな使い方でも全く問題ありません。コンペの条件は物語の中に必ず、この2つのキーワードを入れる、ということでした。アイスクリームとカバンにまつわる物語を書く、ということではありません。むしろ、この2つのキーワードをストーリーの中でどのように使うか、というところも物語づくりの肝になってきます。
今回、このキーワードを使った物語を書こうと思った時、私の頭の中に浮かんだのは、ヒマラヤ山脈の奥地にある幻の山、アイスクリーム山を目指す探検家の話と、飼い主の趣味で“アイスクリーム”と名付けられた、自分の名前が大嫌いな犬の話でした。もう一つのキーワードはカバン。これは、なんとでもなります。物語の中に、黒いカバンを持った人を何気なく登場させてもいいし、カバン屋さんの看板を風景の中に入れ込むこともできるでしょう。つまり、どうとでも料理できるということです。
最初に浮かんだ2つのアイデアの筋を追っかけようと思ったのですが、どちらも10枚には収まりきりそうもなく結局断念しました。
そして、次にぽっかり頭に浮かんだ蔵守猫のお話を書き上げたというわけです。
キーワードに縛られるのではなく、その2つの言葉からどれだけ自由に発想を広げられるか――。コンペの作品の条件にわざわざキーワードを設けたのは、発想を広げるトレーニングのためです。次回はぜひ、その点を意識してチャレンジしてみてください。
ユニークな発想を鍛えることは、とても大切です。他人には真似のできない自分ならではのイメージをどこまでふくらませられるのかが、創作には常に問われます。
最近のAIはかしこくなっていて、“アイスクリーム”“かばん”というキーワードを入力し、10枚以内の子ども向けの物語を考えてくれ、と言えば、それなりの答えを返してくれます。……ということはつまり、今後の創作コンクールでは、AI作品ではないかというチェックが入るということです。AIに頼っていなくても、AIが考えつくような物語を書いていたのでは、ハネられてしまう可能性があります。
AIが到底考え付くことのできない物語、それを磨くために、発想力が求められるのです。
さて、次回のキーワードは、今回上位入賞した二人の作者に決めてもらいましょう。一人ひとつずつ、お二人から出される言葉が、次のコンペの二つのキーワードになります。お楽しみに!
第2回の“STORY COMPE”の募集は、次回のメールマガジン発行日である11月20日です。この時に、新しい2つのキーワードも発表します。たくさんのご応募をお待ちしております。そうだ!みんなで面白い物語を書きましょう! |
|
理事長 富 安 陽 子 |
|
|
| ◆ 富安理事長の参考作品 < キーワード:「アイスクリーム」、「かばん」 > |
|
「蔵守猫の話」 富安陽子/作 (PDF) |
|
| ◆ 投票時にいただいた、すべての候補作品に対する主な感想 (PDF) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|

|
 |
 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|





一般財団法人
大阪国際児童文学振興財団
〒577-0011
東大阪市荒本北1-2-1
大阪府立中央図書館内
TEL : 06-6744-0581
FAX : 06-6744-0582
|
|
|